教育への財政支出がGDP比でOECD最下位
2010年9月22日
考えさせられる数字に出会いました。経済協力開発機構(OECD)が先頃公表した「図表でみる教育」2010年版からの数字です。
公表された内容によると、「教育機関への公財政支出が国内総生産(GDP)に占める割合」という指標で、日本がOECD加盟国28か国の中で最下位になりました。しばらく前に各メディアで報道されたのでご覧になった方も多いでしょう。
最近さまざまな場面で言われる日本の国際競争力低下とセットで、この割合を上げなければならないという気持になってしまうのが不思議です。しかし、ちょっと考えるとこの割合が教育の質や機会の平等性とどのように結びつくのだろうと疑問が湧きます。
この割合にそれぞれの国のGDPを掛け戻した公財政支出額はいくらになるのか、さらにその公財政支出額を在学する人口で割った一人あたりの金額はどうなるのか、過去からのトレンドはどうか、などもっと知りたくなるところです。
しかし、考え方を変えると「最下位」ということは、逆に最も効率的ということは言えないでしょうか。私は質の良い公教育が国を支えることを信じていますが、この割合を上げるために効果が検証しにくいバラマキ的な財政支出に誘導されたら困ります。
公表された中には私費負担割合のこともありますが機会があればまた触れましょう。
要約は文部科学省のホームページで見ることができます。
CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)
2010年9月18日
CCCと呼ぶ経営指標があることをご存じでしょうか?「CCC」のみでウェブ検索してもTSUTAYAの運営会社がトップで登場したあとなかなか目的に行き着きません。
経営指標としてのCCCとはキャッシュ・コンバージョン・サイクルのことで、次の算式で計算します。
CCC=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-仕入債務回転期間
そうです。「運転資金立替期間」と同義です。言い替える必要があるのだろうか?とつい最近「CCC」という呼び方を知った自分のぼやきはさておき。
この期間が短ければ必要な運転資金が減るため、短縮する過程ではキャッシュフローを生みだし、借入金などの有利子負債を圧縮できます。では、この期間を短縮するために仕入先への支払い条件を変更して、仕入債務の回転期間を長くすれば良いのでしょうか?
それはひとつの答ですがここは資産側に着目します。売上債権に目が行き届けば貸倒れや長期化を未然に防ぐ債権管理につながりますし、棚卸資産を意識すれば生産現場や流通の効率化が進むでしょう。
この指標の改善は、直接的にはキャッシュフローの改善であっても、そのアクションの過程で別の改善につながる好例です。
贈与税の非課税枠と地価動向
2010年8月31日
国土交通省が四半期ごとに発表している全国主要都市150地区の地価動向を報告する「地価LOOKレポート」で興味深い分析がありました。
レポートによると、7月1日までの3ヶ月間で、150地区のうち105地区で下落となり、厳しい景気の状況を反映している一方で、住宅系地区では42地区のうち過半の24地区で上昇または横ばいとなりました。レポートでは要因のひとつとして税制等の住宅関連施策の効果を挙げています。
この住宅関連施策は「住宅取得資金に関わる贈与税の非課税」を指すものと思われます。これは、父母や祖父母から住宅を取得する資金の贈与を受けても平成22年は1,500万円までが非課税になるというものです。
税制の効果という分析に説得性を感じたのは、これまでの非課税枠500万円が3倍に拡大したことと、平成23年は1,000万円に枠が削られることが、「今年でなければ」、「今でなければ」という需要を喚起していることが考えられるからです。