日本美術の裏の裏
2020年11月28日
六本木のサントリー美術館で開かれている『日本美術の裏の裏』展に行ってきました。
リニューアル・オープン記念の第2弾としての企画で、日本ならではの美意識に根ざしたコレクションを紹介するというものです。
屏風や掛け軸、絵巻、陶芸、着物、浮世絵など幅広いジャンルの作品が展示されていましたが、特に絵巻の数々は、描かれた当時の仏教感や作者の人間味を感じることができて見飽きません。
野々村仁清や尾形乾山、仁阿弥道八の優れたやきものも見られます。
横山大観の全貌/日本画ベストアーティスト10
2020年11月10日
島根県安来市にある足立美術館に初めて行きました。その美しい庭園が良く知られ、かねてより私どものお客様からも「ぜひ行くべき」と強く勧められていたところ、ようやく念願がかないました。
ちょうど開館50周年の記念展示として、「横山大観の全貌」と「日本画ベストアーティスト10」を同時に見ることができました。当館の横山大観コレクションは有名ですが、『紅葉』屏風をはじめ、これほどの数を一度に見られる機会はあまりないでしょう。
また、当館のコレクションから10人の名人たちの作品を展示する企画では、横山大観のほかにも竹内栖鳳や河合玉堂など日本画の大家の名品を見ることができました。
霧にけぶる借景の山々とともに庭園の眺めを堪能しました。
もうひとつの江戸絵画 大津絵
2020年11月4日
東京ステーションギャラリーで開かれている『もうひとつの江戸絵画 大津絵』展に行ってきました。
大津絵とは、江戸時代の初期から東海道大津宿周辺で量産された土産物で、これまでは歴史資料、民俗資料として取り扱われてきたそうです。
近代に入ると大津絵に美を見出した画家や収集家がこぞって収集をし、今回の企画ではこうして収集され、旧蔵歴が明らかな名品が展示されていました。中にはあの民藝運動の柳宗悦が集めた52点も含まれています。
初めて見た大津絵はそれほど多くない画題でいろいろなバージョンがあってその違いを楽しめました。また、素朴な表現に思わず頬がゆるむ作品もあり、多くの人に愛された理由がわかる気がします。
現在の大津には私どもの大津事務所があります。
見終えたあとはいつものとおり、東京駅を行き交う人を眺めます。
DIC川村記念美術館 ふたつのまどか展
2020年11月3日
千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館に初めて行きました。
DICとはあの化学メーカーのDICで、私にとっては社名変更前の大日本インキ化学工業の方がなじみがあります。また、川村とは、創業家の2代目である川村勝巳氏が収集したコレクションが核になっていることに由来します。
ちょうど開館30周年記念展として「ふたつのまどか展」が開かれていました。現代美術で活躍する5人の作家とコレクションを組み合わせた展示で、ゆったりとした展示室でじっくり見られました。
美術館は起伏のある土地に緑の木々に囲まれて建っています。散策路も用意されていて心地よい環境です。また、メーカーらしく隣の敷地にはDICの総合研究所がありました。
新型コロナの影響で送迎バスの運行が止まっているため、美術館へは地下鉄、JR、モノレール、コミュニティバスを乗り継ぎ、最寄りのバス停からは徒歩で1.5km余りという遠足のような行程になりました。
歩いたおかげで地理用語をひとつ憶えました。千葉県でも北部では台地と低地が組み合わさった下の写真のような地形をよく見ます。低地の部分は下総台地を刻む浸食谷に開かれた水田で、谷津田と呼ばれるそうです。
美の競演 静嘉堂の名宝
2020年10月28日
世田谷の静嘉堂文庫美術館で開かれていた「美の競演 静嘉堂の名宝」に行ってきました。
展示作品のうち今回の目玉とされる『曜変天目(稲葉天目)』は、その不思議な玉虫色の茶碗自体が名品であることに加え、徳川家光が春日野局に下賜し、その後、三菱財閥の岩崎家が入手したという来歴も名宝と呼ぶのにふさわしいものでしょう。
なお、琳派好きの私にとっての一番の名宝は、酒井抱一の『波図屏風』でした。
静嘉堂文庫美術館については、2022年に展示場所を丸の内の明治生命館に移すようです。これにより丸の内地区は出光美術館、三菱一号館美術館、東京ステーションギャラリーとともに美術館の一大集積地を形成します。
世田谷の高台からの眺めは丸の内への移転後は見られなくなります。