日仏近代絵画の響き合い
2022年3月16日
しばらく前に竹橋の丸紅ギャラリーで開かれていた「日仏近代絵画の響き合い」に行ってきました。
丸紅ギャラリーは、大手商社の丸紅が2021年11月にオープンした新しいギャラリーです。コレクションの中心は祖業に関係の深い染織品と染色図案、そして昭和初期から蒐集した和洋絵画です。
今回は開館記念展としてコレクションの中から日仏近代絵画を中心に展示する内容でした。
ルノアールをはじめとするフランス近代絵画の作品とともに、19世紀のおわりから20世紀のはじめにかけて渡仏して大きな影響を受けた日本の洋画家たちの作品を見ることができました。
丸紅ギャラリーは、これまでブログで紹介した美術館・博物館・ギャラリーの中で、私どもの事務所から最も近い距離にあります。
よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―
2022年3月10日
六本木のサントリー美術館で開かれている「よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―」に行きました。
正倉院に奈良時代から伝わる宝物は、1300年近くの長い歳月を経て傷んだものが修理される一方で、明治後期からは修理と一体の事業として模造制作が行われて来たそうです。
今回は、最新の調査・研究と、現代の名工といわれるひとびとの卓越した技量が融合して完成した忠実な再現模造を見ることができました。
代表的な展示品の『螺鈿紫檀五絃琵琶』は、五弦の琵琶でも世界中で現存するのは正倉院御物のみらしく、その模造の制作過程の解説と併せて展示されていました。螺鈿の細工や木地の仕上げは息をのむような美しさです。これら宝物の「制作当時」を味わえるのは模造ならではです。
民藝の100年 柳宗悦没後60年記念展
2022年2月24日
竹橋の東京国立近代美術館で開かれていた「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」に行きました。
現在ではあたりまえのように用いている民藝(民芸)という言葉は、実は「民衆的工芸」から生まれたということを本展で知りました。
民藝のルーツとなったのは今から約100年前に柳宗悦・河井寛次郎・浜田庄司らによって提唱された生活文化運動で、装飾性とは対極にあり、職人の手から生まれた日常の道具に美を見出し、その新しい美の価値観を唱え、その後現代まで続いてきた美意識や思想といわれています。
さまざまな展示物を見ることができますが、民藝が影響を受けた朝鮮時代や19世紀のイギリスの展示品を見ると、海外からも大きな影響を受けていたことがよくわかりました。
博物館に初もうで 今年はトーハク150周年! めでタイガー!!
2022年2月16日
しばらく前のことですが、上野の東京国立博物館で開かれていた「博物館に初もうで 今年はトーハク150周年!めでタイガー!!」に行きました。
この企画は常設展の入館で見ることができ、寅年にちなんで、古いものでは紀元前5~3世紀の中国、新しいものでは19世紀の日本の「虎」をモチーフとした作品が展示されています。古来より虎は悪霊を退ける動物だったそうで、寅年の新年にふさわしい展示です。
実は今回の目的はもう一つありました。当館が所蔵する長谷川等伯の『松林図屏風』が国宝室で短期間展示されていたのを見てきました。
静寂さや、その場の空気が漂ってきそうな描写に改めて感動をしました。
北側の庭園は雪が残っていたり、池が凍っていたりしていて、以前に載せた初夏の庭園とは全く異なった冬景色です。
いたるところでお正月らしい飾りつけがされていました。
篁牛人展~昭和水墨画壇の鬼才~
2022年2月9日
虎ノ門の大倉集古館で開かれていた「生誕120年記念 篁牛人展~昭和水墨画壇の鬼才~」に行きました。
本展は富山県出身の篁牛人(たかむ らぎゅうじん)による初期から晩年の作品までをたどる展示です。
富山県といえば長谷川等伯のゆかりの地であり、「水墨画」を冠した美術館もあるほど水墨画には縁の深い土地です。その富山県が生んだ水墨画家による、独自の画法で大胆に描いた作品を見ることができました。
生前はなかなか評価されることがなかったようですが、最大の後援者であった医師の森田和夫氏の寄贈作品による「篁牛人記念美術館」が富山市により運営され、近年は評価が高まっているようです。
大倉集古館へは2019年9月のリニューアルオープン後、初めて訪れました。周りの高層ビルに負けないくらいの力強さを感じる建物です。