高橋由一館 常設展
2022年5月20日
香川県琴平町金刀比羅宮にある高橋由一館に行きました。
高橋由一といえば日本の近代洋画の祖とされていて、金刀比羅宮に常設展示があると知って以来、行きたいと思い続けていました。
館には金刀比羅宮が高橋由一から奉納を受け、また、時には高橋由一を支援するために購入したという油絵が展示されています。リアルな静物画、山や海を巧みな構図や色彩で描いた風景画など、高橋由一のみの作品をまとめて見られるという貴重な場所です。
金刀比羅宮では、表書院の一部が公開されていて、ガラス越しではあるものの縁側や廊下から円山応挙の障壁画を見ることができました。写真は表書院前の屋外のパネルです。
金刀比羅宮の本殿のある場所から讃岐平野を見渡すと、讃岐富士や遠くの瀬戸大橋までも望めました。
上の写真の瀬戸大橋付近を拡大してみました。
空也上人と六波羅蜜寺
2022年5月15日
上野の東京国立博物館で開かれていた「空也上人と六波羅蜜寺」展に行きました。
仏像の展示が中心の本展では、何といっても教科書でもなじみのある『空也上人立像』を間近で見られるとあって、連日多くの人を呼んでいるようです。また、これも教科書でおなじみの経典を手にした『伝平清盛坐像』も見ることができます。
『空也上人立像』の口から現れた6体の阿弥陀仏は、仏像や祖師像としては見たことのない独自のスタイルです。この運慶の四男康勝によって造られたとされる像は、360度の各方向から見られる展示のおかげで、リアルな表情や姿勢、座りジワのある法衣までよく見えて見飽きるということがありません。
庭園は春の陽が降り注いでいました。
特別展 燕子花図屏風の茶会
2022年5月10日
南青山の根津美術館で開かれている『特別展 燕子花図屏風の茶会』に行きました。
例年、庭園のカキツバタが咲く頃、当館が所有する「燕子花図屏風」をメインに様々なテーマの展覧会が催されいます。
今年のテーマは、当館のコレクションを築いた根津嘉一郎が、1937(昭和12)年5月の数日間にわたって催した大茶会で披露した屏風や茶道具を展示するというもので、名品をまとめて見られる貴重な機会です。当時の茶会の客や懐石の献立、使われた器のことが記された記録の展示もまた興味深いものでした。
主役の尾形光琳の「燕子花図屏風」はもちろん何度見ても素晴らしいのですが、並べて展示されていた円山応挙の「藤花図屏風」は、金地に墨でのびやかに描かれた幹や枝と、繊細に描きこまれた花の組み合わせで「燕子花図屏風」に負けないくらい素晴らしいと感じました。
庭園のカキツバタは見ごろを迎えていました。昨年訪れた時は開花時期よりも少し早かったので花をほとんど見られなかったのに対し、今年は思う存分見ることができました。
ミロ展-日本を夢見て
2022年5月3日
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれていた「ミロ展-日本を夢見て」に行ってきました。
スペインの現代芸術家ジョアン・ミロといえば、抽象的な作品がまず思い浮かびますが、本展では、ミロの制作活動に影響を与えたとされる日本の文化・芸術とのつながりに焦点をあて構成されていました。
意外に感じたのは、ミロは日本の民藝品などにも美を見出していたらしく、マジョルカ島のアトリエから里帰りした民藝品や、関連展示としてミロの友人が収集した大津絵も何点か展示してあったことです。ミロの展覧会で民藝品や大津絵を見るとは思ってもみなかったので、驚きと発見でミロへの理解が深まりました。
特別展 ポンペイ
2022年4月27日
しばらく前のこと、上野の東京国立博物館で開かれていた「特別展 ポンペイ」に行ってきました。
本展では、ナポリ国立考古学博物館が所蔵している、ローマ時代の都市ポンペイから出土した貴重な品々が約150点展示されていました。
西暦79年のヴェスヴィオ山の噴火で火山灰の下に封じ込められ、18世紀の発見以来発掘が続けられてきた出土品からは、当時のひとびとの暮らしぶりが良く伝わってきます。
フレスコ画やタイル画が美しく保たれた要因が、市民に悲劇をもたらした噴火と思うと胸が痛みますが、時間を超えて見られることを本当に有難く感じます。
ポンペイ遺跡では現在もなお発掘が続けられていて、考古学的な発見も続いているようです。たとえば、ヴェスヴィオ山が噴火した日付については、近年になって新説を示す壁の文字が見つかったらしく、好奇心が尽きません。
庭園は桜が見ごろでした。冬景色の庭園も悪くないと思いつつも、やはり木々の生命力を感じる季節の方が好みです。