虫めづる日本の人々
2023年9月14日
六本木のサントリー美術館で開かれている「虫めづる日本の人々」展に行きました。
日本で古来から大切にされてきた虫のモチーフをテーマにした展示です。この虫とは昆虫に限らず、蜘蛛、蛙、蛇なども含んでいます。
その虫をモチーフにした江戸時代の絵画や工芸品を通して、虫に親しみ、虫をめでてきた日本、日本人を知ることができます。
虫の表現の仕方は様々で、とても写実的なものから、デザイン化したもの、中には擬人化したものまであって当時の「虫めづる」を感じるとともに、その感覚が現代まで引き継がれていることにも気付きました。
甲斐荘楠音の全貌展
2023年9月1日
東京駅の東京ステーションギャラリーで開かれていた「甲斐荘楠音の全貌」展に行きました。
甲斐荘楠音は、大正から昭和にかけて京都で活躍した画家ですが、一度見たら忘れられない作品を数多く残していて、ここ数年は、京都・大阪画壇の再評価や「あやしい」というキーワードのなかで目にする機会が増えていました。
今回は、画家としての甲斐荘楠音の作品を初期のものからまとめて見ることができたのに加え、映画界への転身後の活躍をたどれる展示で構成されていました。画家としての甲斐荘楠音しか知らなかったので、過去に見たことのある映画の制作にもかかわっていたことを知り、画家のことを今まで以上に身近に感じることができました。
見終わったあとは丸の内北口を行き交う人を眺めます。
ART de チャチャチャ -日本現代アートのDNAを探る-
2023年8月26日
天王洲のWHAT MUSEUMで開かれている「ART de チャチャチャ -日本現代アートのDNAを探る-」展に行きました。
精神科医の高橋龍太郎氏は現代美術のコレクターとして知られ、現代美術の振興や普及に多大な貢献をされているそうで、最近ではメディアで取り上げられることが増えています。
今回はその高橋龍太郎氏のコレクションの中から、日本の伝統的な価値観を継承しながらも現代の視点でとらえて表現した作品が展示されています。
作品は絵画にとどまらず、彫刻や立体作品、インスタレーションもあって楽しめます。また、会場内に設けられた公開制作では、アーティストと来場者が接する場が設けられているのも現代美術ならではでした。
WHAT MUSEUMは天王洲の倉庫街にあり、目の前が天王洲運河です。
特別展 木島櫻谷 ― 山水夢中
2023年8月18日
六本木の泉屋博古館東京で開かれていた「特別展 木島櫻谷 ―山水夢中」に行きました。
木島櫻谷は明治から昭和初期にかけて京都で活躍した日本画家で近年再評価が進んでいるそうです。
今回の展覧会は、その木島櫻谷の山水画を中心とした作品が展示されていて、伝統的な山水画とは異なる表現を見ることができました。
こうした山水画の表現の背景には膨大な屋外での写生活動があるらしく、展示されている写生帖からそのことをうかがうことができました。これらの写生帖は傷みが激しかったものを、当館がルーツを持つ住友グループの住友財団が助成の一環として修復をし、今回の展示が可能になったようです。
日比谷線神谷町駅からは、木漏れ日の神谷町緑道の緩やかな坂をのぼりながら美術館に向かいます。
映画「わたしたちの国立西洋美術館」
2023年8月11日
渋谷のシアター・イメージフォーラムで上映されている「わたしたちの国立西洋美術館」を見ました。
年に何度か訪れる上野の国立西洋美術館ですが、ふだんの展覧会では見ることができない舞台裏を捉えたドキュメンタリー作品です。
監督はこれまでも数多くのドキュメンタリーを世に送り出し、様々な受賞歴のある大墻敦氏です。特に新旧の館長をはじめ職員、関係者へのインタビューを通して見えてくる西洋美術館の姿はとても興味深く、いろいろなことを考えさせられる内容でもありました。
映画のテーマのひとつでもあるリニューアルのシーンは、工事用の塀の中で進んでいた前庭を1959年の開館当時の姿に近づける工事の様子がよくわかる貴重なものです。