ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展
2022年4月16日
上野の東京都美術館で開かれていた「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」に行きました。
館の主要なコレクションは、17世紀から18世紀のザクセン選帝侯の時代に始まったもので、館名にもある古典絵画の分野ではヨーロッパでも指折りです。やはり経済の繁栄と芸術の興隆は切り離せません。
さて、本展の目玉であるフェルメールの『窓辺で手紙を読む女』は、つい最近大がかりな修復を終えたことが話題になりました。というのは、その修復がただの修復ではなく、フェルメール自身が描き、後世に塗りつぶされたキュービッドが約300年ぶりに現れるという美術史を書き換える”事件”だったからです。
また、フェルメールで霞んでしまった感のある「17世紀オランダ絵画」ですが、レンブラントをはじめ、ハルスやステーンといったオランダ絵画の黄金時代に活躍した画家たちの名画の存在感も際立っています。
壁に現れたキューピッドで寓意がより明確に。
M式「海の幸」森村泰昌
2022年4月4日
だいぶ前のことですが、京橋のアーティゾン美術館で開かれていた『M式「海の幸」森村泰昌 ワタシガタリの神話』に行ってきました。
現代芸術家の森村泰昌氏が当館所蔵の青木繁の「海の幸」や自画像にインスパイアされて制作した作品を展示する企画でした。もちろん青木繁のコレクションも見られます。
セルフポートレート写真で良く知られる森村氏のセルフポートレートはここでも登場し、青木繁の作品の違った面を気づかせてくれたように感じます。
印象派 画家たちの友情物語
2022年3月24日
だいぶ前のことになりますが、京橋のアーティゾン美術館に行きました。
展覧会のテーマは「印象派 画家たちの友情物語」として、石橋財団コレクションが保有する印象派の名品中の名品を数多く見ることができました。
会場で配布された印象派の画家たちの交流相関図は、とてもわかりやすくできていて、おかげでこれまで見たことのある名品も別の角度から見ることができたような気がします。
もう一つのテーマ展示「挿絵本にみる20世紀フランスとワイン」では、挿絵本に描かれたワインを見ることができて、アートの視点でワインを楽しめました。
日仏近代絵画の響き合い
2022年3月16日
しばらく前に竹橋の丸紅ギャラリーで開かれていた「日仏近代絵画の響き合い」に行ってきました。
丸紅ギャラリーは、大手商社の丸紅が2021年11月にオープンした新しいギャラリーです。コレクションの中心は祖業に関係の深い染織品と染色図案、そして昭和初期から蒐集した和洋絵画です。
今回は開館記念展としてコレクションの中から日仏近代絵画を中心に展示する内容でした。
ルノアールをはじめとするフランス近代絵画の作品とともに、19世紀のおわりから20世紀のはじめにかけて渡仏して大きな影響を受けた日本の洋画家たちの作品を見ることができました。
丸紅ギャラリーは、これまでブログで紹介した美術館・博物館・ギャラリーの中で、私どもの事務所から最も近い距離にあります。
よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―
2022年3月10日
六本木のサントリー美術館で開かれている「よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―」に行きました。
正倉院に奈良時代から伝わる宝物は、1300年近くの長い歳月を経て傷んだものが修理される一方で、明治後期からは修理と一体の事業として模造制作が行われて来たそうです。
今回は、最新の調査・研究と、現代の名工といわれるひとびとの卓越した技量が融合して完成した忠実な再現模造を見ることができました。
代表的な展示品の『螺鈿紫檀五絃琵琶』は、五弦の琵琶でも世界中で現存するのは正倉院御物のみらしく、その模造の制作過程の解説と併せて展示されていました。螺鈿の細工や木地の仕上げは息をのむような美しさです。これら宝物の「制作当時」を味わえるのは模造ならではです。