特別展 燕子花図屏風の茶会
2022年5月10日
南青山の根津美術館で開かれている『特別展 燕子花図屏風の茶会』に行きました。
例年、庭園のカキツバタが咲く頃、当館が所有する「燕子花図屏風」をメインに様々なテーマの展覧会が催されいます。
今年のテーマは、当館のコレクションを築いた根津嘉一郎が、1937(昭和12)年5月の数日間にわたって催した大茶会で披露した屏風や茶道具を展示するというもので、名品をまとめて見られる貴重な機会です。当時の茶会の客や懐石の献立、使われた器のことが記された記録の展示もまた興味深いものでした。
主役の尾形光琳の「燕子花図屏風」はもちろん何度見ても素晴らしいのですが、並べて展示されていた円山応挙の「藤花図屏風」は、金地に墨でのびやかに描かれた幹や枝と、繊細に描きこまれた花の組み合わせで「燕子花図屏風」に負けないくらい素晴らしいと感じました。
庭園のカキツバタは見ごろを迎えていました。昨年訪れた時は開花時期よりも少し早かったので花をほとんど見られなかったのに対し、今年は思う存分見ることができました。
ミロ展-日本を夢見て
2022年5月3日
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれていた「ミロ展-日本を夢見て」に行ってきました。
スペインの現代芸術家ジョアン・ミロといえば、抽象的な作品がまず思い浮かびますが、本展では、ミロの制作活動に影響を与えたとされる日本の文化・芸術とのつながりに焦点をあて構成されていました。
意外に感じたのは、ミロは日本の民藝品などにも美を見出していたらしく、マジョルカ島のアトリエから里帰りした民藝品や、関連展示としてミロの友人が収集した大津絵も何点か展示してあったことです。ミロの展覧会で民藝品や大津絵を見るとは思ってもみなかったので、驚きと発見でミロへの理解が深まりました。
特別展 ポンペイ
2022年4月27日
しばらく前のこと、上野の東京国立博物館で開かれていた「特別展 ポンペイ」に行ってきました。
本展では、ナポリ国立考古学博物館が所蔵している、ローマ時代の都市ポンペイから出土した貴重な品々が約150点展示されていました。
西暦79年のヴェスヴィオ山の噴火で火山灰の下に封じ込められ、18世紀の発見以来発掘が続けられてきた出土品からは、当時のひとびとの暮らしぶりが良く伝わってきます。
フレスコ画やタイル画が美しく保たれた要因が、市民に悲劇をもたらした噴火と思うと胸が痛みますが、時間を超えて見られることを本当に有難く感じます。
ポンペイ遺跡では現在もなお発掘が続けられていて、考古学的な発見も続いているようです。たとえば、ヴェスヴィオ山が噴火した日付については、近年になって新説を示す壁の文字が見つかったらしく、好奇心が尽きません。
庭園は桜が見ごろでした。冬景色の庭園も悪くないと思いつつも、やはり木々の生命力を感じる季節の方が好みです。
カヴァレリア・ルスティカーナ(Cavalleria Rusticana)鑑賞
2022年4月24日
すみだオペラ合唱団員の知人からのお誘いで、すみだオペラ第9回公演、マスカーニ作、歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」を鑑賞しました。
第4回公演から毎回鑑賞していて、前回の2019年の第8回「アイーダ」から3年ぶりの開催です。3年ぶりとなったのは新型コロナのためで、今回は歌劇方式ではなく演奏会形式にしたり、入場者数を制限したり、感染症対策と両立させながらの開催でした。
オーケストラ・ソリスト・合唱団のみなさんの熱演は、制限された演出を忘れさせてくれるような素晴らしいものでした。よく知られた美しく哀愁に満ちた間奏曲も聴き所でした。
会場の曳舟文化センターは大規模な改修を終えたばかりでした。
メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年
2022年4月22日
六本木の国立新美術館で開かれている「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」に行きました。
ニューヨークのメトロポリタン美術館のコレクションのうち、ルネサンスから近代に至るまでの西洋美術史を理解するうえで重要な65作品が展示されていました。これは、メトロポリタン美術館で現在行われている改修工事のおかげです。
西洋美術史上、ルネサンス、バロック、ロココなど各時代様式の作家の作品のうちでも名品と言われるものが揃っているのは圧巻です。
ティツィアーノの『ヴィーナスとアドニス』の晩年作と考えられているバージョン、レンブラントの『フローラ』、フェルメールの『信仰の寓意』、だいぶ時代が下がってジェロームの『ピグマリオンとガラテア』は特にお薦めです。
フェルメールについては、上野の東京都美術館で開かれていた「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」において『窓辺で手紙を読む女』が展示されていて、同じ時期に別々の展覧会でフェルメールを見られるというなかなかない機会でした。